今回はメキシコでのパン作りについてです。
メキシコに来てから、私は日常的にパン作りをするようになりました。
その理由を振り返ってみると…
- ふわふわ生地のパンが少ない
- パン屋さんは高くて日常使いしづらい
- 甘いパンが多い
こうした理由から、自然と自分でパン作りをしたいと思うようになりました。
いざ始めてみると、心を無にしてパンをこねる作業がとても好きで、私にとって癒しの時間です。
焼きあがると達成感でいっぱいになるので、変化の少ない駐在生活の中では自己肯定感アップにつながり、心にも良い習慣となっています。
これから駐在予定の方や、海外でパン作りを始めようと思っている方にとって、「材料はどうする?」「道具は持っていくべき?」という疑問は大きいと思います。
私自身、一時帰国でわざわざ購入し直したものもあれば、意外とメキシコで購入できたものもありました。
少しでも参考になればと思い、ここに記録を残します。
材料編
大抵のものはメキシコで揃います。
始めは材料探しにも苦労しましたが、慣れてしまえばこっちのものです。
メキシコで買えるもの
- 小麦粉(強力粉・薄力粉)
- 牛乳
- 豆乳
- バター
- ドライイースト
- 砂糖
- 塩
日本から持ってくるべきもの
- 米粉(パン・製菓用)
- 特殊な種類の砂糖
メキシコで買えるもの
ほとんどの材料はメキシコで購入可能ですが、慣れないスペイン語表記や、日本とは異なる規格に初めのうちはとまどいました。
私が普段から使っている材料を、写真付きで紹介していきます。
小麦粉(強力粉・薄力粉)
日本の小麦粉には「強力粉」「中力粉」「薄力粉」の種類があり、その違いは含まれているたんぱく質の量です。
強力粉はパン作り、中力粉はうどんや粉もの料理、薄力粉はお菓子作り、といったように用途によって使い分けます。
| 種類 | たんぱく質量 | 向いている料理 |
|---|---|---|
| 強力粉 | 11~13% | パン、ピザ生地、ベーグル、中華麺、パスタ |
| 中力粉 | 9~11% | うどん、そうめん、お好み焼き、たこ焼き |
| 薄力粉 | 6~9% | ケーキ、クッキー、天ぷら衣、ホワイトソース、蒸しパン |
ところがメキシコで販売されている小麦粉は、日本のように「強力粉」「中力粉」「薄力粉」という名前で区別されていません。
成分表示のたんぱく質量を見て選ぶ必要があります。
強力粉

メキシコのスーパーマーケットで売られている小麦粉は薄力粉・中力粉が多いため、強力粉は見つけるのに少し苦労しました。
そんな中私が愛用しているのは、写真の「CISNE DE ORO」です。
たんぱく質量が12%あるため、強力粉として使えます。
メキシコで探した中では、今のところ唯一の強力粉です。
我が家のメインスーパー「HEB」でも、店舗によっては取り扱いがない場合もあります。

薄力粉には特にこだわりがないので、どこのスーパーマーケットでもいつも購入できる「SELECTA」を使用しています。
たんぱく質量が10%なので厳密には中力粉の部類ですが、お好み焼きや揚げ物など、料理に使うことがほとんどなので気にせず使用しています。

日本食スーパーで日本の小麦粉を購入することもできますが、1袋当たり1,000円弱と、かなり高価です。
牛乳

メキシコの牛乳は常温保存タイプが主流ですが、我が家では「LALA」というメーカーのものを購入することが多く、特に「ORGÁNICA」と書かれている写真の牛乳を選ぶことが多いです。
この牛乳は日本と同じ低温殺菌の冷蔵保存タイプなので、日本の牛乳と似た味わいで安心です。


初めのうちは常温で陳列されている牛乳に抵抗がありましたが、今ではそれぞれにメリットがあると感じています。
冷蔵保存牛乳
- 日本の牛乳に近い味
- やや安価
- 新鮮な風味
- 賞味期限が短い
- 種類が少ない
- スーパーマーケットの温度管理にやや不安がある
常温保存牛乳
- 種類が多い
- 長期&常温で保存可能
- コンビニでも購入できる
- 価格がやや高め
- 風味がやや異なる
日本に近い牛乳の味を求めるなら冷蔵保存牛乳、まとめ買いや冷蔵庫スペースを確保したいなら常温保存牛乳、と好みに合わせて使い分けるとよいと思います。
豆乳

日本と比べると高級食材扱いですが、購入できます。
日本食スーパーマーケットの他に、「City Market」という高級スーパーでも取り扱いがあります。
たまに加糖(CON AZÚCAR)やバニラなどで香りづけされた「豆乳風飲料」もあるのでお気を付けください。
バター
有塩・無塩共に様々なメーカーのものがあります。
有塩バター

我が家で日常的に使っているバターは、「Gloria」というメキシコの老舗バターブランドのこちら。
軽めで乳臭さもなく、日本人にも親しみやすいニュートラルなバターです。
無塩・有塩・低脂肪など種類があり、サイズも家庭用から業務用まで幅広く展開しています。
「LALA」の有塩バターも見たことはありますが、滅多にないのでこちらを使っています。
無塩バター

「LALA」の無塩バターは手頃な価格で、スーパーでの入手性も高くおすすめです。
風味はマイルドで癖がないので、パンやお菓子作りに向いています。

「LURPAK」はデンマーク発のバターです。
輸入バターなのでやや高価ですが、「LALA」より脂肪分が少し多い分、バターの風味も増します。
塩パンのようにバターの風味を生かしたいパン、バターが主役のパンをつくるときによく使用しています。

「PRESIDENT」はフランス国内シェアNo.1のバターです。
今回紹介したバターの中で価格・濃厚さ、共にトップです。
クロワッサンやパイ生地、洋菓子など、濃厚なバターを使いたいときにおすすめです。
ドライイースト

「Tradipan」というブランドで、一般的なスーパーで販売されている家庭用のインスタントドライイーストを使用しています。
日本よりは大きめの規格ですが、11g×5袋で小分けされているのが嬉しいポイントです。
砂糖
Azúcar estándar)

メキシコで一般的に使用されるサトウキビ由来の砂糖で、粒子は中粒です。
家庭料理やパン作り、飲料などにも使われています。
Azúcar refinada)

メキシコで最も精製度の高い種類の砂糖です。
標準砂糖よりもさらに純度が高く粒子が細かく均一になっているため、製菓(ケーキ・クッキー・チョコレート)や食品工場のような業務用に使用されているそう。
標準砂糖と比べるとやや高価です。
日本の上白糖のようなしっとりした砂糖ではなく、さらさらとした砂浜の砂のようにやや粒感があります。
私は料理用の砂糖としてではなく、グラニュー糖の代わりに使用しています。


標準砂糖や精製砂糖の他にも、ブラウンシュガーや粉砂糖(Azúcar glass)、マスカバード(Azúcar mascabado)という未精製の砂糖、モレナ(Azúcar morena)というコーヒーに入れたりして使うカラメル風味の砂糖など、様々な種類の砂糖があります。
人工甘味料のスクラロースやアスパルテームなどの商品も豊富に流通しています。
特にメキシコらしいものとしては『アガベシロップ』が有名です。
低GIで血糖値の上昇が緩やかになる効果があり、お土産としても人気があります。
塩

「La Fina」はメキシコで最も流通している精製塩で、家庭用の定番品です。
岩塩や海塩などの種類も多くあるので、用途によって使い分けてみても楽しいと思います。
日本から持ってくるべきもの
ほとんどの材料はメキシコで購入することができますが、中には日本からわざわざ取り寄せないと手に入らないものもあります。
このようなものは、一時帰国でまとめ買いをしたり、通販を利用して購入します。
米粉
ただの米粉は中華系の材料コーナーに陳列されていることもあります。
しかし製菓用・パン作り用とは粒子の大きさや均一さが異なります。
日本食スーパーでも製菓用やパン作り用の米粉は見かけたことがないので、頻繁に使用したい人は日本から持参したり、通販で探す必要があります。
特殊な種類の砂糖
氷砂糖や和三盆、黒糖のような日本の特殊な砂糖は日本食スーパーで取り扱いされる可能性はありますが、今のところ見たことがありません。
我が家では普段の料理で甜菜糖を使用していたので、これは日本から持参してきています。
使い切ってしまった場合は、メキシコの標準砂糖に切り替える予定です。
道具編
やはり、日本の100円ショップほど安くて高品質なものは見つかりません。
安く揃えたい場合は日本で購入するのがおすすめですが、メキシコで買えたものも多かったのでご紹介します。
メキシコで買えるもの
- ボウル
- 計量スプーン
- ゴムベラ
- スクレーパー
- めん棒
- 型類
- ふるい
- 計量カップ
日本での購入がおすすめ(メキシコでも購入可能)
- はかり
- キッチンタイマー
- 温度計
- 使い捨ての型
日本から持ってくるべきもの
- 特定の型 (一斤食パン用など)
- 好みのレシピ本
メキシコで買えるもの
キッチン用品は、主要なスーパーマーケット(HEB、Walmart、Soriana)の他、「Bed Bath & Beyond」 というアメリカチェーンの家庭用品ストアで購入することが多いです。
日本でも人気のある「OXO」のキッチン用品も幅広く取り扱いしています。(日本よりも高価な傾向にありますが)
ボウル・計量スプーン・ゴムベラ・スクレーパー・めん棒・型類




使い慣れた調理道具を日本から持ってくるのが一番かとは思いますが、いずれも様々な種類があるので、無理して持ってくる必要はないと思います。
ふるい



メキシコのふるいは片手でハンドルを握るタイプのものが主流なようです。
探せば目の細かいザルもあるので、そちらでも代用可能です。
私は洗いやすく場所を取らないシンプルな形のものが欲しかったので、一時帰国のタイミングでタンバリン型のコンパクトなものを購入してきました。
計量カップ

単位が「ミリリットル(ml)」ではなく「オンス(oz)」だと聞いていたので日本から持参しましたが、メキシコにはどちらもありました。
レシピの1カップの概念が異なるので、計量する際は注意です。
日本式1カップ=200ml
メキシコ・アメリカ式1カップ=240ml
日本での購入がおすすめ(メキシコでも購入可能)
メキシコで購入できるものの、日本で購入して来てよかったもの・一時帰国で買い足したものなどご紹介します。
はかり・キッチンタイマー
どちらもメキシコで購入できますが、金額・精度の点で日本での購入がおすすめです。
種類も日本の方が多いと思います。
温度計

精度はわかりませんが、メキシコでもいろいろな種類が揃っていたので現地でも購入できます。
ただ説明書の解読や単位が使いこなせるか不安はあるので、使う予定のある人は日本製がおすすめです。
使い捨ての型


パウンドケーキやマフィンサイズなど紙製の型は、メキシコでは種類が少ないように感じています。
金額も安くはないので、日常的に使う予定のある方は日本で購入してきても良いと思います。
私はお総菜パンを焼くために、マドレーヌ用の紙製やアルミ製の型を一時帰国で大量購入しました。
日本から持ってくるべきもの
メキシコでは購入できず、一時帰国まで我慢せざるを得なくて後悔したものたちです。
多くはないですが、参考になればと思います。
特定の型(一斤食パン用など)

メキシコの食パンはパサパサしているものが多く、家でパンを焼きたいと思うようになったきっかけでもあります。
しかし食パン用の型(角食パンが焼ける蓋付)がなかなか購入できず、見つけられても大きなサイズばかり。
我が家は2人暮らしなので一斤サイズが欲しかったのですが、アメリカでもメキシコでも、一斤サイズが売られている情報を見つけられませんでした。
ネット上では同じように海外で一斤食パン用の型を探している方が多くいらっしゃいました…。
最終的に一時帰国で購入できるまで我慢せざるを得なかったので、他にも日本サイズのものや絶対に使う予定のあるものは日本での購入がおすすめです。
好みのレシピ本

今どきネットでたくさんのレシピに出会えますが、紙派のみなさんはレシピ本の選抜もお忘れなきよう。
レシピ本があると自然と同じ料理家の方のレシピから選ぶので、共通の工程や道具が多く、新しいレシピへの挑戦のハードルが低くなるような気がします。
自分の好みや生活スタイルに合ったレシピ本があると心強いです。
特にこのレシピ本は『夜に仕込んで朝は焼くだけ』なので、朝寝坊派の私にはぴったりです。
無理なくパン作りが続けられているのはこの本のおかげと言っても過言ではありません。
ホームベーカリー要る?要らない?問題
私はホームベーカリーを使っていませんが、海外で変圧器を使用して日本製のホームベーカリーを使っている方もいます。
(メーカーの保証対象外にはなりますが…)
ホームベーカリーを導入するメリットとしては、
- 時短
- 自動化で負担軽減
- オーブンが無くてもOK
- タイマー予約ができる
- パン以外にも活用できる(麺・餅・ジャムなどが作れる機種も)
このような感じでしょうか?
私自身は、まずパン生地をこねる作業が好きです。
そして朝に準備する時間がないときは
- 「前日に仕込んで翌朝焼くだけ」のレシピを活用する
- 前日に食パンを焼く(焼いてから一晩寝かせる必要があるため)
などの方法で対処しています。
他にもキッチンでの置き場所問題や、成形パンやハードパンなど手作業ならではのパンに挑戦できることも、手ごねのパン作りならではのメリットかなと思います。
最近のホームベーカリーは作業を部分的に任せることができる機種もあるようなので、自分の生活スタイルに合った方法を選べるよう、参考になさってみてください。
海外キッチンのオーブンは使えるの?問題
海外のキッチンには、ほとんどの場合オーブンが付帯しているかと思います。
けれど海外のオーブンは温度調整に難ありとのうわさを聞いていたので、日本からオーブンレンジを持参するかぎりぎりまで迷っていました。
結果、日本からは持参せずに、キッチン付帯のオーブンでパンを焼いています。
たしかに、スイッチがアナログ式なので繊細な温度調整は難しいのですが、ダイヤル目視の温度設定でも問題なくパン作りができています。
日本のオーブンレンジは多機能なので、あったら便利なのは間違いないですが、
- 変圧器を使用する必要があるため、長時間の利用は向いていない
- 引っ越しの際にコストがかかる
このようなデメリットもあるため、電子レンジ・トースター(エアーフライヤー付き)・キッチン付帯のオーブン、我が家ではこの3種類を使い分けています。
海外のオーブンは容量が大きいので、コストコの大きなピザが一気に焼けたりと普段の料理でも大活躍しています。
さいごに
以上、是非とも挑戦してみてほしい『パン作り』についてでした。
海外駐在の生活は、慣れてくると変化が少なくなりがちです。
安全に過ごすために「いつもの」を選択することが増えてしまうので、それは仕方のないことと思っています。
けれどそんな生活の中で、少しでもいつもと違った何かを作り出すことは、私にとって自分を褒めてあげるための手段であり、日常に変化を与える手段にもなっています。
家族に喜んでもらえる上に、自己肯定感も上がる。しかも美味しい。
駐在生活に慣れてきたタイミングでとてもおすすめの趣味です。
この記事がパン作りを始める後押しになれたら、これ以上ない喜びです。
きっと暮らしを豊かにしてくれます。

